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フィリピン外資規制 Negative List の読み方2026

編集チームセブ犬/編集長公開 2026.04.09読了 18

List A と List B、No foreign equity / 25% / 30% / 40% の意味、小売の払込資本金2,500万ペソ基準、教育・不動産・IT・コンサルの実務論点、Anti-Dummy Law。会社設立前の「地図」として読むための手順。

フィリピンで会社を作る前に必ず確認したい「Negative List」

フィリピンで起業、法人設立、投資、店舗運営、不動産関連ビジネスを考えるとき、最初に確認すべきもののひとつが「Foreign Investment Negative List」です。
日本語では「外資規制リスト」「外資ネガティブリスト」と呼ばれることが多く、簡単に言えば、外国人または外国資本がどの業種にどこまで参加できるかを示したリストです。
フィリピンでは、すべての業種が外国人に100%開放されているわけではありません。業種によっては、外国資本が一切認められないもの、25%まで、30%まで、40%までなど、出資比率に上限があるものがあります。
特にセブ島で法人を設立する場合、日本人がよく検討する事業は、語学学校、留学エージェント、飲食、宿泊、旅行関連、不動産関連、IT、マーケティング、コンサルティング、人材紹介、教育、物販などです。これらの中には比較的自由に外資参入できるものもありますが、業種の定義によっては制限にかかる可能性もあります。
そのため、会社設立前に「このビジネスは外資100%でできるのか」「フィリピン人株主が必要なのか」「そもそも外国人が行ってよい事業なのか」を確認する必要があります。

Negative List は「禁止リスト」ではなく「制限リスト」

Negative List という名前だけを見ると、外国人ができない業種だけを並べた禁止リストのように感じるかもしれません。しかし実際には、完全に禁止されている分野だけでなく、外国資本の上限が定められている分野も含まれています。
つまり、読むときのポイントは「載っているか、載っていないか」だけではありません。
確認すべきなのは、次の3点です。
1つ目は、その事業がリストに載っているかどうか。
2つ目は、載っている場合、外国資本の上限が何%か。
3つ目は、例外条件や別法令による追加条件があるかどうかです。
リストに載っていなければ原則として外資100%で可能と考えられるケースもありますが、実務上はSEC、BIR、LGU、業種別ライセンス、許認可、DOLE、PEZA、BOIなどの別ルールも関係します。Negative List だけを見て判断するのではなく、最終的には業種ごとのライセンス要件まで確認する必要があります。

List A と List B の違い

Negative List は大きく List A と List B に分かれています。
List A は、フィリピン憲法や個別の法律によって外国資本の制限が定められている分野です。たとえば、マスメディア、特定の専門職、土地所有、天然資源の開発、教育機関、公共事業、広告、コンドミニアム所有などが含まれます。
List B は、安全保障、防衛、公衆衛生、道徳、中小企業保護などの理由で外国資本が制限される分野です。たとえば、武器・火薬関連、危険物、ギャンブル、一定規模未満の国内市場向け企業などが含まれます。
実務上、起業家が特に注意すべきなのは List A の「業種別の法的制限」と、List B の「小規模国内市場向け企業」の項目です。
なぜなら、一般的な日本人起業家がフィリピンで始めようとするビジネスは、武器や鉱業のような特殊分野ではなく、サービス業、教育、店舗、物販、コンサルティング、IT、観光関連などが多いからです。その場合、直接的な禁止業種に見えなくても、資本金、対象市場、ライセンス、事業内容の説明によって外資規制の扱いが変わることがあります。

「No foreign equity」は外国人出資不可

Negative List の中で最も強い制限が「No foreign equity」です。
これは、外国資本の参加が認められないという意味です。外国人が株主として入ることができず、原則としてフィリピン人またはフィリピン資本でなければならない分野です。
代表的なものとして、マスメディア、特定の専門職、協同組合、小規模鉱業、海洋資源の利用、一部の武器関連製造などがあります。
セブ島で事業を考える日本人にとって特に注意したいのは、メディア、教育、職業紹介、広告、人材関連、不動産関連などです。たとえば、単なるウェブサイト運営やマーケティング支援のつもりでも、事業内容の表現によっては広告、メディア、出版、情報発信、教育サービスなどに近く見える可能性があります。
会社設立書類に記載する primary purpose や secondary purpose は、外資規制の判断にも影響します。そのため、事業目的は広く書けばよいというものではありません。広すぎる目的は、かえって制限業種に触れるリスクを高めることがあります。

25%・30%・40%の上限をどう読むか

Negative List には「Up to twenty-five percent」「Up to thirty percent」「Up to forty percent」のような表現が出てきます。
これは、外国資本が最大でその割合まで認められるという意味です。
たとえば、25%までであれば、外国人または外国法人が持てる株式は最大25%です。残り75%以上はフィリピン人またはフィリピン資本である必要があります。
30%までの代表例としては広告業があります。40%までの代表例としては、一定条件の小売、天然資源、土地、公共事業、教育機関、コンドミニアム所有などがあります。
ここで重要なのは、40%まで認められているからといって、単純に「外国人40%、フィリピン人60%」にすれば安全というわけではないことです。
フィリピンでは、名義だけフィリピン人株主を入れて実質的に外国人が支配するような構造は、Anti-Dummy Law の問題になり得ます。形式上の株式比率だけでなく、議決権、取締役構成、契約、資金の流れ、実質的な経営支配も見られます。
つまり、外資規制を読むときは「株式比率」だけでなく、「誰が実質的にコントロールしているか」も考える必要があります。

小売業は資本金基準に注意

日本人がフィリピンで検討しやすい事業のひとつに、小売業があります。
雑貨店、食品販売、EC、輸入販売、土産物、アパレル、生活用品販売などは、一見シンプルに見えます。しかしフィリピンでは、小売業には外資規制と資本金要件が関係します。
2026年版のリストでは、払込資本金が2,500万ペソ未満の小売業について、外資は40%までという制限が示されています。逆に言えば、一定以上の資本金などの条件を満たす場合には、外資参入の余地が広がります。
ただし、小売は店舗ごとの投資額、販売対象、商品の種類、事業登録、LGUの許可、BIR登録なども関係します。小さく始めたい外国人にとっては、資本金要件が実務上の大きなハードルになることがあります。
セブ島で日本人向けショップや観光客向け物販を考える場合は、「小売」に該当するのか、「卸売」「輸出」「オンラインサービス」「仲介」「マーケティング支援」など別の整理ができるのかを、設立前に検討するべきです。

教育関連ビジネスは慎重に確認する

セブ島では語学学校、オンライン英会話、教育コンサルティング、親子留学、進学支援、チューター、トレーニングなど、教育関連ビジネスを考える日本人も多いです。
教育分野は、Negative List 上でも注意が必要な分野です。正式な教育機関として運営する場合、外国資本比率、学校認可、カリキュラム、TESDA、DepEd、CHEDなど、内容によって関係機関が変わります。
一方で、すべての教育関連サービスが同じ扱いになるわけではありません。たとえば、語学学校、短期研修、企業研修、オンラインレッスン、留学エージェント、教育メディア、キャリア相談、コーチングでは、法的整理が異なる可能性があります。
そのため、教育関連事業では「教育機関を運営するのか」「単なる紹介・斡旋なのか」「オンラインサービスなのか」「職業訓練なのか」「学校ライセンスが必要なのか」を分けて考える必要があります。
セブ島で留学関連ビジネスを行う場合、Negative List だけでなく、SSP、TESDA、ビザ、寮運営、旅行業、送迎、保険、契約書、返金規定なども関係するため、最初の設計が非常に重要です。

不動産関連は土地とコンドミニアムで違う

フィリピンでは、外国人による土地所有は原則として認められていません。一方で、コンドミニアムについては、一定の範囲内で外国人所有が可能です。
この違いを理解していないと、不動産投資や不動産ビジネスで大きな誤解が生まれます。
外国人がセブ島で土地付き住宅、商業用地、リゾート用地を買いたいと考える場合、個人名義で土地を所有することは基本的にできません。法人を使う場合でも、土地所有に関してはフィリピン資本比率が重要になります。
一方、コンドミニアムは建物全体の外国人所有比率に上限があり、その範囲内であれば外国人個人がユニットを所有できるケースがあります。
不動産関連ビジネスを行う場合も、売買仲介、賃貸管理、物件紹介、投資コンサルティング、開発、所有、運営では規制の論点が異なります。単に「不動産ビジネス」とまとめて考えず、実際に何をするのかを細かく分けることが大切です。

IT・コンサル・BPOは比較的検討しやすいが油断は禁物

外国人がフィリピンで起業する場合、IT、ソフトウェア開発、BPO、デジタルマーケティング、コンサルティング、バックオフィス支援などは、比較的検討しやすい分野です。
特に、フィリピン国内市場だけを対象にするのではなく、海外クライアント向けにサービスを提供する場合、外資100%で設立しやすいケースがあります。
ただし、事業内容の書き方には注意が必要です。
たとえば、IT会社のつもりでも、広告代理業、メディア運営、人材紹介、教育、金融仲介、不動産仲介などを事業目的に含めると、別の規制に触れる可能性があります。
また、国内市場向けの小規模企業として扱われる場合、資本金要件や List B の制限が関係することがあります。外資100%で設立したい場合は、輸出型、海外向けサービス、BPO型、ITサービス型など、事業モデルを明確に整理することが重要です。

「載っていない業種」は本当に自由なのか

Negative List を読むとき、多くの人が「リストに載っていなければ外資100%でできる」と考えます。
これは基本的な考え方としては間違いではありません。しかし実務では、それだけで判断するのは危険です。
なぜなら、Negative List は外資比率の制限を示すものであり、すべての許認可や業法を網羅しているわけではないからです。
たとえば、旅行業、食品、医療、金融、保険、教育、人材、建設、不動産、通信、輸送、宿泊、飲食などは、それぞれ別の許認可や登録が必要になる可能性があります。
つまり、Negative List で外資比率の問題がクリアになっても、次に確認すべきことがあります。
SECで会社登録できるか。
BIRで税務登録できるか。
市役所・自治体のBusiness Permitが取れるか。
業種別ライセンスが必要か。
外国人がその業務に従事してよいか。
従業員を雇う場合、DOLEや労務ルールに問題がないか。
このように、Negative List は最初の入口であり、最終判断ではありません。

セブ島で起業する人が見るべき実務ポイント

セブ島で起業する日本人にとって、Negative List を読む目的は、法律を暗記することではありません。
重要なのは、自分のビジネスがどのカテゴリーに入るかを判断することです。
たとえば、飲食店を始めたいのか、飲食店の運営会社に投資したいのか、日本人向けに飲食店を紹介したいのか、フランチャイズを展開したいのかで、法的整理は変わります。
語学学校を作りたいのか、既存校を紹介したいのか、オンライン英会話を運営したいのか、留学エージェントをしたいのかでも、確認すべき規制は変わります。
不動産も同じです。物件を所有したいのか、賃貸運用したいのか、管理会社を作りたいのか、仲介したいのか、投資家向け情報サイトを運営したいのかで、必要な確認事項は異なります。
そのため、会社設立前には、まず事業を一文で説明できるようにすることが大切です。
「誰に、何を、どの国で、どのように提供するのか」
この整理ができていないと、Negative List のどこを見ればよいかも判断できません。

日本人起業家がやりがちな誤解

フィリピン外資規制でよくある誤解は、次のようなものです。
1つ目は、「フィリピン人を60%入れれば何でもできる」という誤解です。業種によっては外国資本が一切認められないものもあり、60対40にすれば必ず適法になるわけではありません。
2つ目は、「名義だけフィリピン人にすればよい」という誤解です。これは非常に危険です。実質的な所有者や支配者が外国人であると判断されると、Anti-Dummy Law の問題になる可能性があります。
3つ目は、「小さなビジネスだから規制は関係ない」という誤解です。むしろ小規模国内市場向け企業は、List B の資本金要件に関係することがあります。
4つ目は、「SECで会社が作れたから問題ない」という誤解です。会社登録ができても、営業許可、税務登録、業種別ライセンス、労務、ビザの問題が残ることがあります。
5つ目は、「他の日本人がやっているから大丈夫」という誤解です。既存事例が合法的に設計されているとは限りません。また、同じように見えるビジネスでも、会社の定款、資本構成、契約、実態が違えば判断も変わります。

Negative List の読み方の手順

実務では、次の順番で確認すると整理しやすくなります。
まず、自分の事業内容をできるだけ具体的に書き出します。抽象的に「コンサル」「教育」「不動産」「IT」と書くのではなく、実際に何を販売し、誰からお金を受け取り、どこでサービスを提供するのかを明確にします。
次に、その事業が Negative List の List A に該当しないかを確認します。List A は法律上の制限なので、該当する場合は慎重な判断が必要です。
その次に、List B に該当しないかを確認します。特に小規模国内市場向け企業、危険物、ギャンブル、公衆衛生や道徳に関わる分野は注意が必要です。
そのうえで、外資比率の上限を確認します。100%可能なのか、40%までなのか、30%までなのか、25%までなのか、外国資本不可なのかを整理します。
最後に、SEC、BIR、LGU、業種別ライセンス、ビザ、労務、税務、契約書の確認に進みます。
この順番で見れば、いきなり会社設立手続きに進んでしまい、後から事業目的や株主構成を修正するリスクを減らせます。

2026年に特に注意したいポイント

2026年時点では、フィリピンは外資誘致を進める一方で、憲法上・法律上守られている分野には引き続き制限があります。
公共サービス、通信、再生可能エネルギー、小売、教育、不動産などでは、近年の法改正や解釈変更により、外資参入の余地が広がった分野もあります。一方で、すべてが自由化されたわけではありません。
特に、外資100%でできると聞いた業種でも、条件付きであることがあります。
たとえば、資本金、相互主義、ライセンス、投資額、対象市場、役員構成、フィリピン人従業員比率などが条件になるケースがあります。
したがって、2026年にフィリピンで法人設立を考える場合は、古い情報に頼らないことが重要です。2022年以前の解説記事だけを見て判断すると、現在のルールとずれている可能性があります。

まとめ:Negative List は「会社設立前の地図」として読む

フィリピンの Negative List は、外国人にとって少しわかりにくい制度です。しかし、読み方を理解すれば、会社設立前の重要な地図になります。
ポイントは、次の通りです。
Negative List は、外国人ができない業種だけでなく、出資比率に上限がある業種も示しています。
List A は憲法や法律に基づく制限、List B は安全保障・公衆衛生・道徳・中小企業保護などの政策上の制限です。
「No foreign equity」は外国資本不可、「Up to 40%」は外国資本40%までという意味です。
リストに載っていない業種でも、別の許認可や資本金要件が必要になることがあります。
セブ島で起業する場合は、事業内容、対象市場、資本金、株主構成、許認可、ビザ、税務をセットで確認する必要があります。
フィリピンは、外資にとって魅力的な市場です。セブ島も、英語人材、観光、教育、IT、BPO、移住需要、親子留学、不動産関連など、多くの可能性があります。
ただし、可能性がある市場ほど、最初の法務設計を間違えると後から修正が難しくなります。
Negative List は、ビジネスを諦めるためのリストではありません。むしろ、どの形で参入すればよいかを考えるための出発点です。
外資100%で進めるのか、フィリピン人パートナーと組むのか、資本金を引き上げるのか、事業内容を分けるのか、別法人にするのか。
最初に正しく読み解くことで、セブ島での起業や投資は、より安全で現実的なものになります。

本記事の情報は一般情報であり、個別の投資・税務・法務・医療助言ではありません。最新情報は各専門家・公式機関にご確認ください。
編集チーム
執筆
セブ犬/編集長
Cebu Guide編集部
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